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しておりました。そこで次は日本を目指すというわけです。(日本もけっこう厳しいと思いますが……。)
(3) 貧しくとも庶民は元気一杯
とにかくこの国の人々は皆バイタリティーがある。
戦後の日本も焼け跡から庶民のバイタリティーで経済成長してきたわけですが、中国の場合はちょっと違うような気がするのです。皆個人主義というか、自分さえお金儲けできればそれでよいという、つまりあまり国家を信用していない、国家のために貢献しようという意識を持っている人(特に庶民においては)少ないように思うのです。
“最討厭是軍和公安!(最も厭なのは軍と公安だ!)”と言っているのを聞いたことがあったが、この国の人は権力に対する嫌悪感が相当あるような気がするのです。
よく見かける一例を挙げれば、緊急用務でないのにも係わらず軍・公安の車は道路がどんなに渋滞していても、赤信号であっても、或いは反対側車線であっても一切道路交通法無視で走っています。しかも車内には家族を乗せて私用で使っているのです。(こんな光景は頻繁に見かけられます。)
確か中国の諺の中にも“警匪一家(警察と悪党は同じ仲間だ。)”というのがあったように思うのですが、非常な経済建設ラッシュでめざましい発展を続けているこの国もそこに住んでいる人々は昔から変わっていないのでしょうか?
しかし、一方では非常に礼儀正しい人も多く、どうやら問題が多いのは実務権限を握っている中堅幹部クラスあたりのようで、政府高官は非常に優秀な人も多いのだがその最善の政策も末端まで届いていないのが現実のようです。
(4) 常識と習慣
中国人の常識は日本人とはかなり違うようです。生活様式、食べ物の違い等は生活習慣から来るものでしょうが、特に道徳観念、いわゆるマナーといった社会的ルール、例えば交通法規といったものに対する考え方もまるっきり違うようです。車も歩行者も皆でそれを遵守しようとする気持ち、譲り合う気持ちといったものは全く見られません。
“先下手為強(早い者勝ち)”の世界なのです。車はドンドン割り込んでくる。二車線であってもその真ん中を走っている。歩行者は信号が赤でもドンドン渡る。

 

 

 

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